「小さないのちを守る会」について・・・Nurse-Kからのメッセージ

 『小さないのちを守る会』ってご存じでしょうか?
  ほとんどの方が?と思われることでしょう。 こんな言葉があります。
  「生命だけは平等だ!!」 この言葉は医療法人徳洲会を創設した医師徳田虎雄先生がおっしゃった言葉です。でも私は、本当に生命だけは平等なのだろうかと疑問を持っております。エッ!?と思うあなたはたぶん間違っていないと思います。
 
  先日(H10年11月くらい)、「驚きものの木20世紀」というTV番組で、『赤ちゃん育てて下さい、ある産婦人科医の闘争』という内容のドキュメンタリーが放送されました。私は残念ながらこの番組を見逃してしまいましたが、見られた方もいらっしゃることと思います。内容は、『25年前のこと産婦人科医の菊田昇医師が、中絶を望んだ妊婦子供を、別の夫婦に実子として斡旋していた事実が判明した。第二次ベビーブームと重なっていた頃、斡旋数は100件にも達していた。当時は、幸せな赤ちゃんが産まれる一方で、様々な事情から中絶される命も少なくなかった。当初、菊田医師も中絶手術をしていたが、妊娠後期の中絶に心の痛みを感じ始めた。苦悩した後、彼が選んだ方法は、出産させ、身元の確かな夫婦に実子として斡旋することだった。世論を二分した大論争に迫る。』というものでした。菊田先生の働きは、国会でも取り上げられ中絶可能月齢を下げるまでになりました。赤ちゃん斡旋事件として有名になったその事件の真相は、様々な事情から生ませることができない赤ちゃん、生まれることを望まれない赤ちゃんを、里子として育てる里親は戸籍上実子として出生届を出し、生んだ母親の方も戸籍上は赤ちゃんを産んだ事実が記載されないようにするといったものでした。そのことにより中絶されなければならなかった赤ちゃんの多くががこの世に生を受けることができたのです。菊田先生はそれを法律化しようと運動を起こされたのですが、その法律「実子特例法」はいまだ日の目を見ません。
  菊田先生は、人工妊娠中絶をするとき赤ちゃんの声なき声を聞いたといいます。「おかあさん、ボク(わたし)を殺さないで!助けて!」と。世の中にはいろいろな考えがあります。中絶は仕方のない事もあるんだとする人がいます。しかしお腹の中に宿った生命は、すでに生きているのです。生命を宿したときからその生命は誰のものでもなくその赤ちゃん自身のものなのです。お母さんのものでも、お父さんのものでも、国家のものでもありません。産まれた子供を殺せば殺人、生まれる前なら生命があっても合法的であるといいます。本当に「生命だけは平等」なのでしょうか?。そのお腹の中の赤ちゃんを助けたいという菊田昇先生の願いは先生の死後、『小さないのちを守る会』という会となってキリスト教の教会を中心に活動が続けてられています。いまだに『小さないのちを守る会』に駆け込んでくる女性は後を絶ちません。
 
  私の友人の話ですが、その友人は幼い頃に母親と生別し父子家庭に育ちました。彼は子供の頃から、自分と愛する人と子供たちと裕福でなくとも楽しく明るく暮らしたいと切に願っていました。彼は、この人だと思う人を見つけ交際を始めました。そして時が過ぎ、彼の愛した人は彼の子供を宿し彼は彼女と結婚することを決心しました。その時の彼の喜び様は、Happyそのものでした。そして彼は彼女と彼女の親に、結婚を申し入れました。しかし彼の家庭環境などを理由に受け入れてもらえませんでした。彼は必死にお願いするのですが、彼女の親も彼女もよけいに心を閉ざすばかりでした。そんなとき彼が考えたのは、せめて赤ちゃんだけでもこの世に生を受けさせてあげたい、我が子なのだからということでした。彼も「お父さん助けて」と声なき声を聞いたといいます。彼は、赤ちゃんを死なせてまで生きていたくないとまで思い詰めていました。彼は生まれて初めて心から祈ったそうです。そんなとき以前話を聞いたことのある『小さないのちを守る会』が思い浮かび門をたたいたといいます。結局の所、彼は彼女も赤ちゃんも失ってしまい、彼は生きる望みもなくしすべてに絶望してしまったと話していました。そんな彼に『小さないのちを守る会』の方が優しく「あなたはあなたが失った赤ちゃんの分も生きなくちゃいけない。その死に報いるためにもあなたは生きていなくちゃいけない。」と声をかけてくれたといいます。しかし彼の心は、むなしさで包まれ生ける屍のごとくだったと云ってます。そんな彼が最近、菊田昇先生の残した本『お母さんボクを殺さないで』を読みハッと気がついたといいます。「赤ちゃんの残してくれたものが見つかった。」と瞳を輝かせ話してくれました。彼が私の所にくるなり「おまえの病院は『生命だけは平等だ!!』って云ってたよな。だからこの話を載せて欲しい。」と真剣な表情で私に詰め寄りました。そんな彼の思いに打たれいまここにこの文章を記しています。(この文章は、私の勤めている病院の院内広報誌にH10年に載せたものです。)   
 
 
  『小さないのちを守る会』では、望まない妊娠に思い悩んでいる方たちのために、「殺してはならない」(出エジプト記20:13)という神のことばに従い、次のような働きをしています。
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【活動の内容】
1 望まない妊娠をした女性、及び周囲の人々を助け出産までの援助
 
2 養育不可能な赤ちゃんの養子縁組の相談
 
3 聖書が教える「いのちと性」の啓蒙教育
 
4 過去の中絶体験に苦しむ人へ、罪意識からの解放と神の救いを提供
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  ○たとえ子育てに経済的な困難が予測されても、また周囲から結婚を反対された祝福されない妊娠であったとしても、ひとたび与えられたいのちは生きる権利があるのです。
 
  ○小さないのちを守る会は、キリスト教精神に基づいて、1984年以来ボランティア活動を続けてまいりました。どうぞ思い悩んでいる方はご連絡ください。誠意をもってご相談に応じます。

    −以上『小さないのちを守る会』リーフレットより−

    この活動は、純粋に、生まれようとしているいのちを守りたいという所から端を発しています。宗教の勧誘を目的としているものではありません。もし身近に赤ちゃんを産みたいけれども生ませることのできない状況にある方がいるとするならば『小さないのちを守る会』を教えてあげて下さい。
      皆さん『いのちだけは平等だ!!』です。小さないのちにも愛を下さい。いのちを愛して下さい。

    『小さないのちを守る会』代表 辻岡健象牧師
    〒101-0062
    東京都千代田区神田駿河台2−1 OCC
    03-3233-4988 Fax 0425-73-8089
     
    『小さないのちを守る会』名古屋支部
    水谷潔さん
    (名古屋一麦教会副牧師)kiyoshi@aimnet.ne.jp   
     
      『小さないのちを守る会』は日本全国に組織があります。もし聞きたいことがあれば、まず東京本部に訊ねていただけると良いと思います。
    東京の町田支部のホームページが公開されています。

    愛知県の名古屋支部のホームページ